ぐるぐる渦巻き島

二月になってもまだ続くんですよ、石井輝男が。

女体渦巻島 [DVD]

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石井輝男監督の新東宝時代の作品です。後年、日本エログロの旗手として活躍する石井監督ですが、新東宝時代のエログロを一手に引き受けていたのは中川信夫監督でした。では、われらがいしいてるおかんとくは何を引き受けたのか?
そいつぁ、「アクションエロ」
ありていに言えばお色気つきアクションです。この作品も陰謀吹き荒れる渦巻島こと対馬を舞台に、陰謀とガンアクションとエロと、珍妙な踊りが咲き乱れます。
ここでのいしいてきかっこいいあくしょんを見ていると、後年の東映特撮の祖形となったであろう要素が散見されます。
+多勢に無勢…主人公が多くの敵に囲まれるものの、一人で何とか全員を倒す。時代劇にもあった様式ですが、そのカメラワークやアクション、「必ずだれかが崖から落ちる」などは、非常に東映特撮チックです。
+基地のライティング…悪の基地(ここではホテル)のライティングは緑や赤を多用しており、仮面ライダーの初期のショッカー基地に類似しています。
+悪の組織の裏切り者は死ぬ…東映特撮に必ずあるパターンです。悪の組織の裏切り者は「地産地消」の精神の元、生き残ることができません。
+敵の用心棒とのワザ合戦…ズバットカリカチュアライズされたことで有名な、主人公と敵の技の競い合いです。石井輝男監督によってすでにこのフォーマットは完成されており、本作ではズバットよりさらに過剰な演出がなされております。
かように多くの共通点がある新東宝時代の石井作品と東映特撮。しかし、異なる点もあります。それは「悪の組織の脱走者」です。特撮では脱走者は怪人によって独創的かつ珍妙な方法で殺害され、子供や私はそれを見てわくわくするのです。
しかし、私のような特殊な趣向を持たない、一般的な大人は到底これではわくわくできません。ですがご安心を。いしいてるおアクションでは、脱走者はひん剥かれたり、鞭打ちをされたりなど「エロい罰を受けます」。これなら大人でも楽しめますね。
本作は「いしいてるおかんとくのかっこいいあくしょん」が堪能できると同時に、東映特撮の多くのフォーマットの淵源が石井輝男アクションに見られる証左にもなります。