かえるしきりにおめくよる

蛙頻りにおめく夜にいます。
宵の中にただ音のみが響きます。


蛙頻りにおめく夜にいます。
駸々(しんしん)と募る声は水のごとく吸われます。


あたりただひとなき野
田のまのひとつや
明りぞよわよわし


かえる しきり おめく


滔々(とうとう)と降る星は時を止めます。
夜、頻りに帰るとおめきます。


宵の中にただ、宵のみが息をします。
夜、頻りに帰るとおめきます。


頻りに帰ると、


蛙しきりに、


おめき、宵に酔い(えい)さばきます。