テーマ一「仮面ライダー必殺技の型と変遷」

第四講 「仮面ライダーX、アマゾン、ストロンガーと技パターンの固定化」

今回はX、アマゾン、ストロンガーという前期ライダーシリーズをまとめて行うわけですが、これらのシリーズにはメインとなる必殺技がはっきりしているという二号ライダーと同じパターンが見て取れます。まずXライダーですが、前半はXキックを主力のものとして使い、後半、マーキュリー回路を接続されてからは、真空地獄車一本(まれに亜種の空中地獄車)となります。これと同じことはアマゾンライダーにも言え、大切断というダイナミックなチョップ技を主流としつつ、たまにアマゾンキックをまぜるというパターンはメイン技とその周辺といった流れをXから踏襲しています。
さて、これら必殺技の固定化という現象は、仮面ライダー以前の特撮ではそこまで極端に行われておらず、スペシウム光線が著名なウルトラマンですら、八つ裂き光輪やウルトラ水流などの技を併用しています。それが固定された流れ、ひとつの技を前面に押し出すようになってきたのは、七十年代特撮のフォーマット化へのひとつの傾向と考えることができるのではないでしょうか。この時代は特撮史上最大の激戦区であったにもかかわらず、個性であるはずのヒーローの技は逆に固定、定型化の道をたどるのは興味深い現象です。第一期仮面ライダーシリーズの最後を飾るストロンガーにも同じことはいえ、ストロンガー電キックを主流の必殺技としています。しかし後半のデルザー軍団編になり、超電子ダイナモで強化改造を受けるとともに急にその技のバリエーションは豊かになっていきます。超電ドリルキックをはじめとして、超電三段キック超電イナズマキック超電大車輪キックなど、最終回目前で多様な技を駆使する存在へと変化を遂げるのです。この定型技→強化改造→バラェティ技という流れが第二期仮面ライダーシリーズのスカイライダーに受け継がれることになります。次回は第二期シリーズの二作品を見て、その対照性を考察していきたいと思います。