石ノ森氏の監督した仮面ライダー第八十四話「危うしライダー! イソギンジャガーの地獄罠」を思い出したら、急に、こんなことを考えました。


波打ち際の、岩礁の上。人形が置かれていました。
女の子が忘れていったのでしょうか。それともこういうものなのでしょうか。


人形は笑っています。誰かに作られた顔を貼り付けて。
どんなに汚れても、波にその身をさらされてもなお、人形は笑っています。


それを誰かに貼り付けられた顔と、言って笑えるでしょうか。
我々の嘲笑もまた誰かに貼り付けられたものなのに。


もし、人形が泣いていたら、悲しまなければならないのでしょうか。
その顔を貼り付けたものを思って。その顔を貼り付けられた人形を思って。


まるで他人事のように、同情のように、哀れむのでしょうか。