さあ、椅子取りゲームの開始だ。
用意された椅子は三つ、我々は五人。二人があぶれる。
この椅子は、我々の合意だ。合意によって出現した座だ。
いわばギルドだツンフトだ。
座ったフリをして、蹴り倒してもかまわない。
座ることに興味のないフリ、してもかまわない。
だが、椅子を消すことは出来ない。
椅子に座ったお前、椅子に座らなかったお前、椅子に未練のあるオマエ、椅子に未練のないオマエ。
そんなオマエが最後に残る。椅子の存在を忘却したオマエは、どこにも存在できない。
なぜなら、座こそが、人だからだ。
ここで喋っている、我々よりも、その座が、「人」なのだ。
ここで椅子取りゲームをしている、その行為こそが「人」なのだ。